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第3話 『魔法のりんご』
王さまが一人の娘を持っていた。 娘は重い病にかかって死にそうだった。 医者は妙薬を飲ませない限り、見込みはないと言った。
そこで王は、自分の娘の病を治した者には娘をめとらせ、 次の王さまにするであろうと布告を出した。
遠い地方に三人の兄弟がいた。 一人が望遠鏡でそのおふれを見た。 そして彼女に同情して、何とか三人で 王女の病気を治してやろうと相談した。
一人は魔法のじゅうたんを持っていた。 もう一人は魔法のりんごを持っていた。 魔法のりんごを食べるとどんな病気でも治る。 そこで三人は、魔法のじゅうたんに乗って王宮に出かけ、
王女にりんごを食べさせると、王女の病気はケロッとよくなって、 みんな非常に喜び、王さまは宴会を開いて 新しい王子を発表しようと思った。
すると一番上の兄弟は「私が望遠鏡で見なかったら、 われわれはここに来られなかった」と言い、 二番目は「魔法のじゅうたんがなかったら、 とてもこんな遠いところには来られなかった」と言い、
三番目は「もし、リンゴがなかったら、治らなかったではないか」 と言った。
あなたが王だったら、この三人の誰に王女をめとらせるだろうか。 答えはリンゴを持っていた男である。 じゅうたんを持っていた男はまだじゅうたんを持っているし、
望遠鏡を持っていた男もまだ望遠鏡を持っている。
リンゴを持っていた男は、リンゴを与えてしまったので、 何も持っていない。 彼はあらゆるものを娘のために与えてしまった。 タルムードによれば、 「何かをしてあげるときには、すべてをそれにかけるものが一番尊い」 ということである。
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