施設内に街を再現

介護施設は多くの入居者にとって10年、20年、30年と長い年月を過ごすことになる場所です。なかには残りの人生のほとんどすべてをそこで生活することになる人も少なくありません。

そのように人生の多くを過ごすことになる、わが家となる施設が、ただ廊下があって、壁があって、居室があって、食堂があるだけというような型通りの場所、何の変哲もない場所だったらどう感じるでしょうか。

特に高齢になればなるほど外出する機会が減り、日常はほぼ施設という限られた空間で完結することになります。だからこそ、外に出なくても、屋内にいるだけでも楽しいと思えるような、目視で感じる空間づくり、環境づくりがより一層求められることになるのです。

では、入居者が感動や生きる喜びを味わえるためには、施設がどのような空間であることが望ましいのでしょうか。それは、端的にいえば、わが家・わが街と同じ感覚で生活を送れる空間のはずです。

そうした観点から、施設全体がまるで街中にあるような雰囲気を醸し出している、いわば「小さな街づくり」のような空間づくりが求められることになります。また街中にいるかのような空間は、これまで自分が暮らしてきた街を連想させ、入居者にこれまでと変わらない日常に近づける心地よい刺激をもたらすことにもつながるでしょう。

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