こぼれ話

第9話 『差し出された金額欄空白の小切手』(印度編)

 交渉に交渉を重ね、商売を重ねていくと、お互いに理解し合い気心が知れてきてまったく予期せぬ局面が開ける。インド人のコミュニティーの一員、あるいは家族の一員として扱ってくれるようになる。 こうなると、何もかもがスムーズに行くようになり、値段の交渉は厳しいが、本筋の商売以外の条件が出てくるようなことは

第8話 『仲間内では口約束で多額な取引も』(印度編)

 『仲間内では口約束で多額な取引も』、こうした話をすると、インド人とビジネスをするのはなかなか厳しいな、と読者の方は思うかもしれない。しかし、どんな国にも建前と本音がある。パイナップルのトゲトゲした皮をむくと、中からジューシーな甘い果実が顔を出すのと同じだ。 インドはご存じのとおり、カース

第7話 『根負けしてしまうインド人との交渉』(印度編)

 インド人とビジネス経験のある日本人からは、インド人の交渉力に根負けしたと言う話をよく聞く。彼らは交渉に時間をかけることをいとわない。前日に決着がついたと思われることが翌日蒸し返される。ようやく契約にこじつけても、直前になって予定が変更されることもある。 受注を争っている競合会社の安い見積

第6話 『一緒に食べて飲めばビジネスOK』(韓国編)

 つい最近までは韓国では、「食事をしましたか?」というのが日常的なあいさつだった。長い苦汁の時代の名残である。 さて、韓国ビジネスをすすめるうえで最も大事なのは、<上手に食事に誘うこと>そして<上手に食事に誘われること>、すなわち食事を一緒にすることである。食事をす

第5話 『勧められるまで酒もタバコも・・・』(韓国編)

 電車やバスの座席はどんなに混雑していても必ず譲ってくれる。その上、席を譲ってもらったお年寄りもごく当然といった顔つきで泰然と座っている。日本のシルバーシートが若者たちに独占されているのとは正反対の現象である。 目上の人や年配者の前で、勧められるまでは酒やタバコを控えるのも儒教文化の1つであろう。

第4話 『当社の社長様はお出かけに・・・』(韓国編)

 日本と韓国の最も大きな文化の違いは、<韓国が儒教の国>だということだろう。韓国人は「目上を尊び、礼を重んじることが人生の大義」と教え込まれてきた。家庭でも学校でも、そして社会がこの「大義」を教えてきた。 したがって、韓国ビジネスの基本は、この儒教精神を理解することからスタート

第3話 『魔法のりんご』(決定版)

 ※ユダヤ5000年の知恵―聖典タムルード発想の秘密― ラビ・M・トケイヤー 加瀬英明・訳 講談社+α文庫より王さまが一人の娘を持っていた。 娘は重い病にかかって死にそうだった。 医者は妙薬を飲ませない限り、見込みはないと言った。 そこで王は、自分の娘の病を治した者には娘をめとらせ、 次の

第2話 『日本語の命令で芸をしたロシア犬 』(日本編)

  日本の近代馬術の祖・遊佐幸平が、レニングラードの貴婦人の家に下宿していた友人を訪ねると、そこに見事なスピッツがいる。友人は「この犬はマダムが命令するといろいろな芸をよくやるが、ロシア語の発音が悪いせいか私の言うことはさっぱりきかない」とぼやく。遊佐はそれを聞くと、「ナーニ、そんなことはわけない

第1話 『あきれカエル』(日本編)

 京都に一匹のカエルが住んでいた。ある時、大阪見物をしたいと思ったそのカエルは、ノソノソ、ノソノソと、やっとの思いで京のはずれの天王山までやってきた。 一方、大阪からも、京都見物をしようと天王山に登ってきたカエルがいた。「やあ、あんたもお隣の都を見物にきたのか!」山頂で鉢合わせした2匹のカ

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