好きな絵を描かせていただけるのは幸せなこと。
自伝的なエッセイ集も出版したんですよ。
ーご入居のきっかけをお聞かせいただけますか?
要介護2になったので、どこか施設を見つけて入居しなくちゃと思っていたところ、亡くなった息子の友達が『ひまわり春日部』を探してくれたんですよ。信頼できる人でしたから、見学はしないで平成21年7月に入居しました。
ー普段、どんな生活をなさっていますか?
趣味の会がいろいろあるので、興味が持てて楽しめるものに参加しています。習字はお休み中ですが、音楽と折り紙は続けています。特に折り紙は今いちばん楽しいですね。お雛様など季節にあったものを作るんです。きちんと折れば、きれいな仕上がりになるのがおもしろいんですよね。
ー何かを作ることがお好きなんですね。お部屋でも創作的なことをされているんですか?
頼まれたときは絵を描いています。
ー絵はいつごろから始めたのですか?
もともと洋裁が好きで、洋裁雑誌のデザインコンクールで一等賞をいただいたこともあるんですよ。それがきっかけになって、50歳頃から絵を描き始めました。
ー素敵なご趣味ですね。頼まれたときに絵をお描きになるとのことですが、それはどんなときですか?
クリスマス会と納涼祭のときに、プログラムの表紙用の絵を頼まれるんです。年2回ですね。いつもおまかせで描かせていただいていますが、いくつか案を出して、プログラム担当の職員の方と相談して決めています。
ー絵が完成するまでどれぐらいかかりますか?
一ヶ月はかかりますね。無理をしないで、その日の気分で書き進めますから。「あ〜、くたびれた」っていうまで書くこともありますけどね。
ー表紙の絵を見せていただきましたが、どの作品もとても温かくて優しい絵ですね。皆さんの評判はいかがですか?
皆さん、すばらしいと言ってくださいます。でも、ほめられると、かえって恥ずかしくて(笑)。
ー賞をいただいたこともあるとか。
『今日は主役』という作品で、2005年に県知事賞をいただきました。好きでずっと続けてきた絵を描く機会を与えてもらっていることは、とても幸せなことだと思っています。本当は絵をもっと描きたいし、旅行などいろいろとやりたいことはありますが、目と足が不自由ですから、思うようにいかないのが悔しいですね。
ー昨年、受賞された作品を表紙に使って、自伝的なエッセイ集を出版されたそうですね。
夫が亡くなった64歳のときにエッセイの講習会を受講して書き始めたんです。家族のこと、病気のこと、ケアハウスでのことなど人生を振り返ってね。もっと早く出版していたら、いろいろな人たちに読んでいただけたんですけどね。でも、遅ればせながら出版できてうれしいですよ。ここの施設長がとてもいい方で、たくさんサポートしてくださいました。亡くなった息子の代行ですね(笑)。感謝しています。